
歴史と文化と自然の街で…
見つけた!さらなる魅力!
2025 May.
Today’s LOCORECO trip!
金沢市は加賀藩前田家の城下町として栄えた街。歴史と伝統が残る街並みや多くの観光スポットがあり、日本だけではなく、世界から観光客が訪れる人気の観光地として知られています。
そんな金沢市のまだ知られざる魅力に迫ったのは俳優・伊原 六花さんです。
(文/兼子雄治・写真/鈴木大喜)
※営業時間や価格は、すべて取材当時のものです。




石川県金沢市について
人口: 453,584人
面積: 468.8k㎡(2025年4月1日現在)
豆知識: 日本海側気候で「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるくらい雨の多い地域。
高い湿度は伝統工芸である漆塗りや金箔製造に適している。

石川県 / 金沢市KANAZAWA CITY
金沢市は、石川県のほぼ中央に位置する市。県庁所在地および人口が最多の市である。 市内には山も海もあり、自然にはとても恵まれている。清らかな犀川や浅野川の他、わき水も多く、水が豊かな町であり「用水のまち」としても有名。 交通網や商工業も発展しており、北陸有数の都市として高い利便性も持ち合わせている。 加賀藩前田家の城下町として栄え、戦災や大きな災害を免れたため、藩政時代からの美しいまちなみが現在でも多く残っているのも特徴。 加賀友禅、金沢箔、九谷焼など、全国的に有名な伝統工芸品も豊富。 また、美術館はじめ現代アートを楽しめるスポットや海鮮、ハントンライス、金沢カレーなど、美味しいグルメが楽しめるのも魅力。
INTRODUCTION



伊原 六花いはら りっか
Profile
1999年6月2日生まれ、大阪府出身。2018年に俳優デビュー。漫画の主演作に、ミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』、舞台『台風23号』、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』、ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』『肝臓を奪われた妻』、映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』、『少年と犬』などがある。
また、現在放送中のドラマ『パラレル夫婦 死んだ”僕と妻”の真実』(フジテレビ系・毎火23:00~)では、伊野尾慧さんと主演を務めました。
衣装協力:
デニム /louren
ネックレス、リング /jouete
ピアス、リング /ete
ブレスレット/ete bijoux
昔懐かしの大人のおやつ!?
地元で愛され続けたソウルフード


金沢市の旅、最初にやって来たのは卯辰山公園見晴らし台です。「金沢市が一望できます。こんな風に見渡せるなんて最高です。人気観光地、金沢市の更なる魅力を存分に紹介したいと思います」とやる気まんまんの伊原さん。


金沢市の旅、1人目のロコレコさんに会いにやって来たのは“にし茶屋街”。ひがし茶屋街や主計町(かずえまち)茶屋街と同じく江戸時代から続く歴史ある茶屋街のひとつです。こちらで出会ったのは富田二朗さん。二朗さんは、自らを“自由人”と呼ぶ笑顔が素敵なロコレコさん。伊原さんともすぐに意気投合していました。


そんな二朗さんがレコしてくれるのは「すごく美味しい大人のおやつ!昔懐かしの蒲焼なんだよ!うまいよー!」とのこと。「蒲焼ってウナギですか?おやつって、どういうこと?」と困惑気味の伊原さんが連れてきてもらったのは自然豊かな鈴見町エリアで2023年にオープンした「らく翔(らくと)」です。

二朗さんと一緒にお店の裏手にある生簀へ向かいます。「どーもー!お客様を連れてきたよー」と二朗さんが声をかけると迎えてくれたのが、代表の小坂 圭太さんです。「二朗さんから昔懐かしい大人の蒲焼があると聞いてきたんです」と伊原さんに「この生簀にいるドジョウの蒲焼がウチの名物なんですよ」と小坂さんが教えてくれます。「私、ドジョウ食べるのももちろん、見たのも初めてかもしれません!」と伊原さん。


「ドジョウは、このあたりでは昔から当たり前の様に食べていたんだけど、随分減ってしまったんだよ。小坂さんは、そんなソウルフードを残したいって、こちらのお店をオープンしてくれたんだよ。私はここのファンで常連です」と二朗さん。「せっかくだからドジョウを捕まえてみよう!」と二朗さんに誘われ、ドジョウをすくってみることに。小坂さんにコツを聞きながら「初めての体験でしたが、うまくいきました!」と笑顔の伊原さん。


新鮮なドジョウを1匹ずつ丁寧に処理し、串にさして蒲焼にしていきます。それを秘伝のタレにくぐらせ、炭火の遠火で、じっくりと火を通します。「身が小さいので繊細に焼かないといけないみたいなんだよ。良かったら焼いてみてよ?」と二朗さん。普段は焼き場に入ることはできない特別な体験ということで、緊張していた伊原さんでしたが、丁寧に焼きあげることができました。「ドジョウを初めてみたのに、さらにお料理するなんて未知の体験すぎます!」と伊原さん。


焼きたての“ドジョウの蒲焼”をいただきます。「初めていただいたんですが、すごく美味しい!臭味や苦味があるかと思っていたんですが、全くなくて。程よく入っている骨の食感も良いし、尻尾までおいしく食べられます」とお気に入りな様子の伊原さん。

「子供の頃は、親戚の集まりなんかはもちろん、学校の帰り道に食べたりしたんだよ」と二朗さん。
「最近は、あまりみかけなくなったので、この懐かしくて素朴なソウルフードを、ずっと残していきたいと思っているんですよ。純粋に美味しいから好きなだけなんですけどね」と小坂さん。地元を愛する熱い思いを聞きながら楽しい時間を過ごしたのでした。
らく翔(らくと)

ドジョウの蒲焼きや唐揚げを楽しめる専門店。
新鮮な国産のドジョウを使用し、肝を丁寧に抜いていることから、臭みがないのが特長。炭火の香りと秘伝のタレをまとい、パリッとした食感が心地よく、噛むほどにどじょうの旨みが広がる。低カロリーでありながら、ミネラル、たんぱく質、ビタミンD、鉄分、カルシウムといった栄養価が高いのも嬉しいポイント。



MOVIE
昔懐かしい大人のおやつ
発見して体感する魅力!
旅するアートとは!?



続いては2人目のロコレコさん、駒崎敦子さんに会いに来ました。駒崎さんは2020年に設立された私設現代アート美術館「KAMU kanazawa(カム カナザワ)」やカフェで働いています。そんな駒崎さんがレコしてくれるのは“旅するアート”とのこと。「旅するアートですか?すごく楽しそうだけど、どういうことだろう?」と不思議そうな伊原さん。


駒崎さんの案内でやってきたのは、金沢の中心地、香林坊エリアにある「KAMU kanazawa」。「こちらが私も働いている「KAMU kanazawa」という現代アート美術館で旅するアートのスタート地点となります」と駒崎さん。「階段から落っこちそうになっている写真がありますね。なんだろうこれ気になります!」と入口に飾られた写真に興味を持つ伊原さん。早速、館内を案内してもらいます。


「こちらは、金沢21世紀美術館のアイコン的作品“スイミング・プール”で知られるレアンドロ・エルリッヒ氏の作品“INFINITE STAIRCASE”です」と駒崎さん。「入口で気になっていた階段のアートですね。不思議な写真になっていたけど、こんな感じかな?」とポーズをとって撮影してもらいました。「わあ!不思議な写真ができた。こうやって撮影していたんですね。自分で考えて体験することができる楽しいアートですね」と喜ぶ伊原さん。


「先ほど美術館で体験したアートをはじめ街中にたくさんのアートがあるんです。ブックレットにそれぞれのアートの場所が載っているんですけど、これをみながら好きなように巡るのが“旅するアート”なんです」と駒崎さんの案内で街に繰り出しました。最初に訪れたのは、世界的にも有名な写真家・森山大道さんの作品が設置されている電柱が並ぶエリア。「ふとした場所で巡りあえるアート。楽しいです!」と伊原さん。


電柱アートを見た後は、金沢新天地という繁華街エリアにやってきました。「ここにも写真作品が展示されているんですよ」と駒崎さん。アート作品とともにお互いを撮影しました。「繁華街の中にアートがあって、不思議な感覚。異世界に迷い込んだみたいで、すごく映えますね」とその仕上がりに大満足の伊原さん。


続いてやって来たのは、森山大道氏の作品「Lip Bar」です。こちらはバーの内側をすべて唇の写真で覆い尽くすという作品で、空間を丸ごと楽しめます。日中は鑑賞の場として、夜間はバーとして運営されており、アート空間でお酒を味わうことも可能。「なんだか不思議な気分になる空間ですね。バーとしてもアートを楽しめるなんて贅沢な時間です」と伊原さん。


次にやって来たのは、日本一歴史のある商店街としても知られる片町商店街。こちらには音楽家・黒川良一氏による音と光の空間作品「Líthi(レーテー)」が楽しめる「KAMU Black Black」がありました。「この作品「Líthi」は古代ギリシャ語で忘却を意味していて、ギリシャ神話に登場する川の名前でもあるんです」と駒崎さん。「確かに。真っ暗な空間で音と光だけを感じていると日常から解き放たれる様な不思議な感覚になります。忘却の意味をを少し感じられたかもしれません」と現代アートの魅力に触れた伊原さんでした。
KAMU kanazawa(カム カナザワ)




駒崎 敦子さん
Profile
美術館、カフェ勤務。
金沢市の街の雰囲気に魅せられ2年前に移住してきた。
MOVIE
発見体感!旅するアート
愛から生まれた大将メシ
ツウが教える絶品メニュー



3人目のロコレコさんに会うために街を歩いていると、なにやら不思議なタクシーを発見した伊原さん。「なんだか金色で珍しいタクシーがいますね」とながめていると、近くに停車し中から人がおりてきました。「六花ちゃん、こんにちは」と現れたのは、ロコレコの池野昭一さんです。「えー!新しいパターンですね!タクシーから降りてくるロコレコさん!しかも金色のタクシーから」と驚く伊原さん。


「とりあえず乗って乗って!」と池野さんに誘われ2人で車内に乗り込みます。「このタクシーは地元の冨士タクシーさんが運行する世界に一台“幸運の金箔タクシー”です。ナンバーは“777”。街で見かけたらラッキーになれると言われているんですよ。地元の金箔総合企業「箔一」さんが装飾を施している金沢ならではのタクシーなんです。金沢といえば金箔ですからね!」と池野さん。


そんな“幸運の金箔タクシー”に乗って連れてきたもらったのは、地元の人たちに50年以上愛されている「東山 やきとり たかた」です。なんでも「焼き鳥屋さんなんですが、おすすめしたいのは焼き鳥じゃないんです。常連にも大人気の、大将オリジナルメニューを紹介します」と池野さんに誘われ店内へ案内されます。


「すごい!もうお客様で賑わっていますね」と伊原さんが言う様に店内は常連さんが楽しんでいました。
店内で迎えてくれたのは大将の臼谷登美央さん。先代から続く銘店で池野さんは40年以上も通う常連なんだそうです。


最初に提供してもらったのは、池野さんはじめ常連さんたちが必ずと言って良いほどオーダーする「アジ酢ペシャル」です。「アジの薄造りに“酢”をかけたものなんです」とご主人の臼谷さんが教えてくれます。実はこのメニュー、もともとは、釣りが趣味の大将がアジを釣りすぎた際に、奥様に「美味しい」と言って欲しくて開発したメニューで、奥様に聞くところによると、ご自宅では“登美央スペシャル”と大将みずから名付けていたとか。照れ笑いする大将を横目に「めちゃくちゃ可愛いエピソードですね!酢の程よい酸味とアジの旨味の調和が最高で、これは奥様も嬉しいですよね!」と伊原さん。


「もうひとつ食べて欲しい大将オリジナルメニューがあるんですよ」と池野さんに頼んでいただいたのは「おでんラーメン」です。昆布やかつおの出汁で煮込まれた様々な地元食材をふんだんに使った金沢おでん。その出汁をスープにした絶品ラーメンです。「やさしくて、すっきりしているんですが、旨味がすごく出ていて最高です。シメにも打ってつけですね!」とその奥深い味に感動する伊原さん。

「金沢は人が温かい所が魅力だと思っています。その地元民たちが愛するお料理だから、どうしても知ってもらいたかったんですよ」と池野さん。
「常連のみなさんが愛するおいしいお料理もいただけて、これは、金箔タクシーの効果かもしれないですね!金沢の知らない魅力に触れられた気がします!」と伊原さん。地元の方との素晴らしい時間を過ごしたのでした。
東山 やきとり たかた

金沢市東山にある居酒屋。焼き物、揚げ物、一品物、おでんなどメニューは幅広く扱っているが、特にアジ酢ペシャル、甘海老紹興酒漬け、鮮魚メニュー、焼きおにぎり、おでんラーメンは必食。
ランチ営業もしており地元のみならず観光客にも人気の逸店。



池野 昭一さん
Profile
金沢生まれ金沢育ち、生粋の金沢人。山、海が近く自然にあふれ人々が温かい所が金沢の自慢。
MOVIE
愛から生まれた「アジ酢ペシャル」
雑居ビルのむこうは、
不思議の店でした。



金沢市の旅、4人目のロコレコさんに会いにやって来たのは金沢城。出会ったのは保育士の大澤淑子さんです。出会いから意気投合したおふたり。大澤さんがレコしてくれるのは「宮﨑駿が作るジブニ」とのこと。「ミヤザキハヤオさん?ジブニ?ジブリじゃないんですよね?」と困惑気味の伊原さん。


連れてきていただいたのは、金沢随一の繁華街・片町エリアにある「食彩居酒屋 縁(えにし)」です。
「正直に言うと、ちょっと怪しげなビルに見えたので、こんなお店があるなんてビックリしました!」と伊原さん。「そうでしょう。入口からは想像できない素敵な空間なんですよ」と大澤さん。「こんにちは!はやおくん!」と店主に話しかける大澤さん。


「こんにちは!」と迎えてくれたのは、店主の宮﨑駿(みやざきしゅん)さん。元警察官の宮﨑さんが退職後に日本料理修行の末、2023年にオープンした片町エリアでも人気のお店です。
「実は駿って書いて“しゅん”って読むんだけど、常連さんは“はやお”って呼んでるんですよ」と大澤さんが紹介してくれます。
「はやおさんが“ジブニ”を作ってくださると聞いてきたんですけど…」と戸惑う伊原さんに「“ジブニ”ですね。すぐお作りしますね」と宮﨑さんがこたえてくれます。


「お待たせしました。こちらが“じぶ煮”です」と宮﨑さん。「良い香りで美味しそう!これは煮物ですよね?」と伊原さん。「“じぶ煮”は、石川県を代表とする煮物で、鴨肉や季節の野菜などを出汁や醤油で煮て食べるんですよ。鴨肉には小麦粉がまぶされているから、とろみがあるのが特徴なんです。はやおくんの“じぶ煮”は最高ですよ」と大澤さんが教えてくれました。「本当だ!優しいお味。初めて食べますが懐かしい感じもする。直前におろしてくださった本わさびもアクセントになっていて爽やかでもあります」とお気に入りの様子の伊原さん。

「すごく気になっていたんですが、この場所にお店を出されたのはどうしてなんですか?」と伊原さん。すると「実はちゃんと考えがあって、あえてこの場所なんです。正直、最初は入りづらい雰囲気があると思うんです。ですが、内装やお料理はしっかりとしたものを提供する。すると良い所が加点されていくと思うんです。うちは加点方式です」と笑う宮﨑さん。「まんまと、手のひらで転がされていましたね」と笑う伊原さんと大澤さん。心地の良い時間で旅を締めくくりました。
食彩居酒屋 縁(えにし)

片町の犀川沿いにある“完全予約制・隠れ家和食”の人気店。金沢仕込みの加賀料理コース(10,000円〜)を楽しむことができる。また全国の地酒約60種の飲み放題(セルフ方式)が付いているのも嬉しいところ。ランチの時間帯は1組のみの貸切。夜の時間は平日大人4名から貸切OKとのこと。



大澤 淑子さん
Profile
金沢市在住歴54年の保育士。
「食彩居酒屋 縁」店主の宮﨑さんがお店をオープンする前からのお知り合い。
MOVIE
素敵空間で頂く地元グルメ
Special Interview伊原 六花
情報では知っていたつもりだったけど、
初めて来た金沢市は、もっと魅力がいっぱいでした



人気の観光スポットで、茶屋街を代表する情緒あふれる街並み。っていうイメージだったんですが、自然もあるし、都会的なエリアもあるし、ディープな雰囲気のエリアもあるし、私が大好きなアートに触れられる場所もあるし、ひとつに決められない街で充実感がありました。


お土産をみるのも楽しかったです。どこへ行っても金箔の商品があるし、普段とは違った非日常感が味わえる感じがしました。金箔のパックと、お友達には金箔装飾のワイングラスも買いましたよ。あと、のどぐろ茶漬けも!


ドジョウを食べたのも、すごく印象に残っています。初めてだったので、正直、大丈夫かな。いけるかな。と思っていたんですが、職人さんの仕事にも感動しつつ、美味しく食べられちゃいました。知らなかった食べ物に出会えたのは嬉しかったですね。

本当にたくさん話しかけてくださって、みなさんに優しく迎えていただいて嬉しかったです。絶対にまたプライベートで訪れますので、その時は、またよろしくお願いいたします!
