よかとこ、まるっと。
だけじゃない! 八女!
2026 Aug.
Today’s LOCORECO trip!
福岡県の南部、山と川と茶畑がどこまでも広がる八女市。全国に知られるお茶の産地でありながら、清流や渓谷、季節のフルーツ、仏壇や手すき和紙といったものづくりの伝統まで、まちのあちこちに“八女市らしさ”が息づいています。
緑の茶畑を望むバス旅、清流での乾杯、幻の地鶏——丹生 明里さんの八女市をめぐる旅がスタートします。
(文/兼子 雄治・写真/はるき としひろ)
※営業時間や価格は、すべて取材当時のものです。
福岡県八女市について
人口:58,258人
面積:482.44km²
(2026年7月31日現在)
豆知識:
八女茶を代表する最高級茶「八女伝統本玉露」の栽培面積は、八女茶全体のわずか0.8%(約12.1ha)ほど。丹精込めて手摘みで育てられる希少なお茶が、このまちの名を全国に知らしめてきた。
福岡県/ 八女市YAME CITY
福岡県の南部に位置する八女市は、県内2位の広さを誇るまち。市域には豊かな森林や矢部川をはじめとする大小の河川が流れ、丘陵地には一面の茶畑が広がる。夏は緑が深く、山あいには清流と渓谷、里には季節ごとのフルーツ。自然の恵みが溢れている。
このまちを語るうえで欠かせないのが、八女茶。とりわけ玉露は、全国茶品評会の玉露の部で26年連続して産地賞を受けてきた日本を代表する高級茶。急峻な山と清流、寒暖の差が、香りと濃厚なうまみをもつお茶を育てる。なかでも「八女伝統本玉露」は、藁で覆って日差しをやわらげ、手摘みで丁寧に仕上げる昔ながらの製法を守り続けている。
お茶だけではない。岩戸山古墳に代表される古墳群、江戸期の面影を残す八女福島の白壁の町並み、仏壇・提灯・石灯ろう・手すき和紙といった伝統産業。歴史とものづくり、そして自然の恵みが幾重にも重なり、いまも人々の暮らしのなかに息づいている。
INTRODUCTION
丹生 明里にぶ あかり
Profile
2001年2月15日生まれ、埼玉県出身。
2017年にけやき坂46(現・日向坂46)の二期生としてデビューし、2025年にグループを卒業。現在は俳優・タレントとしてドラマや舞台、バラエティなど幅広い分野で活動中。TBSラジオ『丹生明里 HAPPY CARAVAN』のパーソナリティを務めるほか、YouTube「にぶちゃんねる」ではゲームコンテンツを中心に発信中。2026年12月には舞台「赤ひげ」への出演が決定している。
よかバスで、いざ
和紙のうちわに、夏をのせて
旅の始まりは、福岡県八女市の八女中央大茶園。ゆるやかな丘陵地に、東京ドームおよそ15個分、約70haもの茶畑がどこまでも広がる、八女茶の一大産地です。展望所に立った丹生さんの目の前に、緑の絨毯のような景色が現れました。「今回は福岡県八女市にやって来ました。見てください、一面茶畑! ふかふかしていそうで寝そべりたいくらい」。「八女市といえばお茶ですが、他にもどんなものが待っているのか、レコしてもらうのが楽しみです」と、旅への期待がふくらみます。
緑の絶景を眺めながら、のんびり散歩していると、大きなバスの前で、この旅最初のロコレコさんが待っていました。「丹生ちゃーん!こんにちは!」「こんにちは! 丹生 明里です、よろしくお願いします」。声をかけてくれたのは、鵜木 佐知子(うのき さちこ)さん。八女生まれ八女育ち、現在も八女市に暮らす、バスの添乗員さんです。八女市のことを知り尽くした、頼れる案内人との出会いに、旅への期待がさらに高まります。
「これから八女市の素敵な場所にご案内します!一緒にバス旅しませんか?」と鵜木さん。「やったー!そういえば、このバス、“よかバス”って書いてありましたけど、“よかバス”ってなんですか?」と丹生さん。「“よかバス”は複数の旅行会社が企画する多彩な日帰り・宿泊ツアーを一括検索できるサービスです。バスでの移動や食事、観光がセットになっていて福岡の“よかところ”を気軽に訪れることができるんですよ!」八女市は自家用車でないと行きにくい場所も多いものの、バスで気軽にめぐれるのだそう。「最高の旅になりそうです!」と、鵜木さんの案内で出発です。
バスを降りてやって来たのは、八女伝統工芸館。仏壇や提灯、石灯ろう、手すき和紙など、八女市が誇る伝統工芸を一堂に集めた施設です。出迎えてくれたのは、見上げるほど大きな石灯ろう。その堂々としたスケールに、「大きいですねー!立派!」と丹生さんも思わず見上げます。館内では職人さんの実演を見学できるほか、竹細工などの工芸品も販売。すぐ隣の観光物産館「ときめき」では、八女茶や地酒など八女の特産品も手に入ります。八女市のものづくりの奥深さにふれられる、伝統文化の入り口です。
丹生さんが案内されたのは、手すき和紙資料館。こちらで「手すき和紙の体験」をさせてもらうことになりました。八女市の手すき和紙は、九州で最も古い約400年もの歴史をもつのだそう。しおりやはがきなど体験メニューは豊富ですが、「夏ですので、うちわを!」と、3種類の形からキュートなくま型のうちわを選びました。
職人さんに教えてもらいながら、いよいよ紙漉きへ。「楮(こうぞ)」という木の皮の繊維などが入ったとろとろの「練り水」を、「すげた」という道具ですくい、縦横に振って練り水を落としていきます。「思ったより繊維が残るんですね!なんだか、社会科の資料集で見る景色!」と丹生さん。「八女市は自然が豊かで、原料ももちろん、矢部川という綺麗な水が流れているので、和紙づくりに適しているんですよ」と鵜木さん。「地元のもので作り、それが続いているのが素敵ですね」と、丹生さんも感心します。
紙漉きの体験を終え、乾燥機にかけること約40分。「じゃーん!」と披露されたのは、キュートなくまのうちわ。「自分で作ったうちわで風を感じられるのが幸せです!涼しい!」と大満足。
「黄色とか水色が好き」と、ビタミンカラーの花を散らした丹生さん。くまの耳にはミニひまわり。お手製のうちわに“ひまわりちゃん”と名づけお気に入りの様子。八女市の伝統を、手から感じた素敵な時間でした。
八女伝統工芸館
やめでんとうこうげいかん
よかバス
鵜木 佐知子さん
Profile
生まれてからずっと八女市に暮らす、バスの添乗員。八女のよかところを知り尽くし、訪れる人を八女弁の温かさで案内する。
MOVIE
バスで行く伝統体験
バスは、山あいへ
夏の清流で、乾杯
続いてバスに揺られて向かうのは、八女市街地から車でおよそ1時間。車窓の景色は、いつしか深い山あいへと変わっていきます。「どんどん自然が深くなっていきますね」と丹生さん。「このあたりは矢部村。八女市でも指折りの、自然豊かなところなんですよ」と鵜木さん。「この後は私の大好きな絶景スポットにご案内します」という言葉に、テンションが上がる丹生さん。窓の外に流れる山々を眺めながら、バスは目的地へと進みます。
バスを降りて向かったのは、杣の里渓流公園(そまのさとけいりゅうこうえん)。鵜木さんが「ここが私の大好きな絶景スポット!」と胸を張るのが、渓谷に架かる「杣の大吊橋(そまのおおつりはし)」です。全長約150m、谷からの高さは約60m。1988年にかけられた、県内でも屈指の大きな吊り橋で、風が吹くたびにゆれることから“福岡一揺れる橋”とも呼ばれています。「わぁ、高い!」と、丹生さんもわくわくしながら一歩を踏み出します。
吊り橋の真ん中まで進むと、山と山の谷間に、緑がぎっしりと広がります。「うわー! 360度、山の真ん中にいるような感覚で、心が洗われます」と丹生さん。眼下の渓谷にはヤマメの釣り堀もあり、夏はこれを目当てに訪れる人も多いのだそう。「風も気持ちよくて、夏とは思えない、この気温!」と、避暑地のような涼しさに驚きます。「こんな山の真ん中にある吊り橋は初めて。緑に吸い込まれそうで、まるでおとぎ話の世界みたい」と丹生さん。
鵜木さんが次に案内してくれたのは「矢部川源流公園」。岩場を下っていくと、目の前に澄んだ清流が現れました。「うわー、お水がすごく透明!」と丹生さん。ここは、川をそのまま生かした天然の河川プール。夏になると、家族連れの水遊びでにぎわう人気スポットです。「水に足をつけると、すごく冷たくて気持ちいいんですよ!行ってみませんか?」と鵜木さんに誘われ川の中に入っていきます。
「足をつけているとすごく気持ちいいですね!」と丹生さん。すると、「私、さらに最高なものを用意しました」と鵜木さん。川の水で冷やしていたのは、八女茶を使ったクラフトビール、八女ブルワリーの「深蒸しIPA」です。地元・矢部川の湧水で仕込み、深蒸しにした八女茶を合わせた1本。「ビールとお茶が合わさっているなんて、珍しい!」と丹生さん。清流に足をひたしたまま、ふたりで「乾杯!」夏の八女ならではの、贅沢な一杯です。
ひと口飲むと「美味しい! お茶の香りがとっても広がって、ビールの苦味とお茶の苦味がちょうどマッチしてます」と、目を輝かせる丹生さん。飲み口はすっきり、あと味には八女茶の香ばしさがふわりと残ります。「川に足をつけながらビールを飲めるなんて、素敵!雰囲気もあいまって、さらに100倍美味しく感じます」最高の一杯と冷たい清流に、思わず笑みがこぼれます。
水面をトンボがすいすいと飛び交い、川のせせらぎだけが響く静かな時間。「なんだか、大人になったなーって思います」と、しみじみつぶやく丹生さん。豊かな山と清流が育てた八女茶のビール。ここでしか味わえない一杯を、心ゆくまで楽しみました。都会の喧騒を忘れさせてくれる、最高の夏の思い出になったようでした。
杣の大吊橋
そまのおおつりはし
「杣の里渓流公園」のシンボルとなる、渓谷に架かる大吊橋。全長は約150mで、揺れる橋の上からは四季折々の山の景色を一望できる。公園は福岡県最高峰・釈迦岳や御前岳の麓、標高およそ600mの渓谷に広がり、ヤマメの渓流釣りや陶芸・草木染めといった自然体験も充実。新緑や紅葉の時季はとくに美しく、都会の喧騒を離れて緑にひたれる“秘境”スポットだ。
矢部川源流公園
やべがわげんりゅうこうえん
日向神ダムの上流、矢部川の源流域にある河川プール。川をそのまま生かしており、水深は浅いところで80cmほどと、小さな子ども連れでも安心して水遊びが楽しめる。梅雨明けから9月中旬ごろまで開放され、入場は無料。トイレや駐車場も整い、すぐ近くには食事やお土産が楽しめる物産交流施設「杣のさと」もある。夏の一日を、のんびりと川辺で過ごせるスポット。
INFORMATION
住所|福岡県八女市矢部村北矢部鬼塚
電話番号|0943-47-3111
(八女市矢部支所 地域振興係)
MOVIE
秘境の清流で涼を満喫
ラジオ飛び入り参加から
星降る村の、秘密基地へ
2人目のロコレコさんに出会うためにやって来たのは、八女市黒木町。緑ゆたかな山あいのまちに、地域の魅力を“声”で届けるコミュニティラジオ局「FM八女(80.1MHz)」があります。2012年に開局し、八女市のニュースやイベント、暮らしの情報を発信する、地元に愛される放送局。「ラジオ局って、なんだかドキドキします」と、丹生さんも興味津々で局へと向かいます。
迎えてくれたのは、パーソナリティの木下 晴菜(きのした はるな)さん。八女市で生まれ育ち、まちをこよなく愛する明るいお人柄。「突然ですが、これから生放送が始まるんです!良かったら飛び入り参加していただけませんか⁉」と木下さん。「えっ、いいんですか⁉よろしくお願いします」と丹生さんが応えます。時計を見ると、本番はなんと10分後。「生放送なんですよね……」と、さすがの丹生さんも少しドキドキの様子です。
いよいよスタジオへ。ヘッドホンをつけてマイクの前に座ると、緊張の面持ちの丹生さん。木下さんの合図で、生放送がスタートします。「こんにちは、丹生 明里です!」電波にのせて、リスナーへ元気にごあいさつ。八女市に来たきっかけや旅の話に、木下さんの軽快なトークが重なります。地元の人が耳をかたむける生放送に、飛び入りで参加する特別な時間が始まりました。
話題は、八女弁のレッスンへ。「“ガバうれしか”で“とっても嬉しい”っていう意味なんですよ」と木下さん。「ガバうれしかー!」と丹生さんも元気に挑戦すると、スタジオは笑いに包まれます。「8月29日放送の旅サラダで、八女市の旅をたっぷりお届けします。ぜひご覧ください!」としっかり番宣も。方言まじりのあたたかいおしゃべり。にぎやかで楽しい生放送となりました。
生放送の終盤、「これから私のとっておきの場所にご案内しますね!実は八女市って、お茶だけじゃないんですよ!フルーツも最高に美味しいんです。そのフルーツをより美味しく味わわせてくれる場所へ行きましょう!」と木下さん。
「わぁ、気になります!私、フルーツ大好きなんです!すごく楽しみです!」と笑顔の丹生さん。木下さんの案内で向かうのは、八女市の山あいにある星野村。八女茶の名産地としても知られる、星がきれいな緑深い里です。
木下さんが連れて来てくれたのは、山を登った先にひっそりとたたずむ、ウッド調のお店「KashiKichi 星の村(かしきち ほしのむら)」。「秘密基地っぽくないですか?」と木下さん。その名のとおり、コンセプトは“お菓子の秘密基地”です。2017年にオープンし、看板や包み紙には星野村にちなんだ星のマークがあしらわれた、遊び心たっぷりのお菓子屋さん。地元の食材を活かしたスイーツを求めて、遠方から訪れるファンも多い人気店です。
お店を切り盛りするのは、田中さんご家族のみなさん。「いらっしゃいませー!」と、看板息子・田中 照士(たなか てると)くんの元気な声がお店に響きます。弟の楽士(がくと)くんも、パパの腕の中でにっこり。あたたかなお出迎えに、「可愛いー!」と、丹生さんもすっかり笑顔に。家族の仲むつまじさが伝わってくる、ほっこりとしたひとときです。
店内には、地元の食材が使われたスイーツがずらり。「どれも美味しそう!」と目を輝かせます。
すると、「スイーツももちろん美味しくて最高なんですが、夏は八女市のフルーツをさらに美味しく味わえる、ここのスムージーが最高なんです!特に今の時季は“すもも”です」と木下さんにおすすめしてもらったのが「すももスムージー」。木下さんは、もうひとつのおすすめ「桃スムージー」をチョイスしました。地元でとれた果物を、たっぷり使ってその場で仕上げる一杯。色鮮やかなスムージーを手に、「わぁ、いい香り!」と、飲む前から思わず笑顔がこぼれます。
まずは、丹生さん、すもものスムージーをひと口。「酸味も感じられて、すももそのもの以上のすもも感!」と驚きます。スムージーに、さらに凝縮したすももシロップも加えていると聞き、「だから口いっぱいにすももが広がるんだ!体全体が、すももになっちゃうようなイメージ!」と納得。さらにお店のご厚意で、桃スムージーのミニサイズも味見させてもらえることに。「桃の中の桃! こんな桃スムージー、飲んだことない。甘くて、トロトロで……鼻から桃が抜ける」と、フルーツ大好きな丹生さんも夢中になります。
星野村の食材を生かしたスイーツもいただくことに。星型が愛らしい「かしきちサブレ」は、サクサクとした食感と、ふんわりやさしい口どけがクセになる一品。「見た目も可愛いし、最高に美味しいです!」と丹生さん。
「地元の食材や生産者やお客様・関わる人を大切にされていて。このスムージーやスイーツたちに物語があるんですね」と、丹生さんも感激。お菓子の秘密基地を満喫しました。
お店を出る時には、ご家族総出でお見送り。「楽しかったー! お菓子はもちろん、ご家族のあたたかさに、すっかり元気をもらいました」と、大満足の笑顔を見せる丹生さん。星降る村の“秘密基地”で味わった美味しくて心あたたまるひととき。また会いに来たくなる、八女市の旅の忘れられない思い出になりました。
KashiKichi 星の村
かしきち ほしのむら
星野村の自然に抱かれた、2017年オープンの菓子店。佐賀県から移り住んだご夫婦が営み、地元の食材にこだわった品揃え。名物のスムージーは、いちご・桃・ぶどう・栗など、季節ごとに主役の果物が替わるのが楽しみ。地元ならではの抹茶を使ったスイーツや、星型の「かしきちサブレ」、しっとり食感の「シフォンケーキ」もそろう。素朴でやさしい味わいと、わくわくする空間を求め、遠方からも多くのファンが足を運ぶ。
木下 晴菜さん
Profile
一般財団法人FM八女のパーソナリティ。八女市をこよなく愛し、地域の魅力や情報を“声”で発信。地元に寄り添った活動を続け、八女市を元気に盛り上げている。
MOVIE
ここはお菓子の秘密基地
白壁の町を抜けて
幻の地鶏に舌鼓
3人目のロコレコさんに出会うためにやって来たのは、八女市の中心部・福島町。江戸初期の1661年に創建された、由緒ある福島八幡宮です。福島八幡宮は勝負・仕事の神様として知られ、光にかざすと透明に映える「透明お守り」や切り絵の御朱印がSNSでも話題です。
こちらで出迎えてくれたのは、この旅3人目のロコレコさん、藤吉 朋子(ふじよし ともこ)さん。八女商工会議所の中小企業相談所長として、地域のお店や事業者を支えています。「生まれは隣まちですが、もう30年ほど八女市に携わっているんです。八女への熱量は、誰にも負けません!」と、まちへの愛をのぞかせる藤吉さん。「今日はどんなお店を紹介してくれるんですか?」と、丹生さんもわくわくが止まりません。
藤吉さんが案内してくれたのは、白壁の町並みにたたずむ一軒。「大人な雰囲気で、おしとやかな気持ちになれる、素敵な空間ですね」と、落ち着いた店内を見わたす丹生さん。カウンター席に個室も備え、記念日にも仕事帰りにも使いやすいお店です。「藤吉さんも、よく来られるんですか?」「はい、仕事帰りにも家族とも。もう数えきれないくらい!」地元で愛される名店に、期待が高まります。
迎えてくれたのは、統括総料理長の中島 恵治(なかしま けいじ)さん。実は常連さん、お店に入るとまず「あれ、ありますか?」と聞くのだそう。その“あれ”が、さっそく目の前に運ばれてきました。貴重な「白レバー」の串です。1人1本限りの数量限定で、ぷっくりと白く輝く見た目に「わぁ、きれい! これが常連さんが頼まれる“あれ”ですね」と丹生さん。「まずは、ごま油と塩でどうぞ」と中島さんがすすめます。
ひと口食べると「とろけます……! 一瞬で口の中から消えました」と丹生さん。「歯がいらない、ほぼ飲めるレバーです。レバー特有の匂いが全くなくて」と、感激します。秘密は、鶏そのものに。味わえるのは幻の地鶏「八女炭蘇鶏(やめたんそどり)」。竹の名産地・立花町の竹炭を餌に加えて育てられ、やわらかな肉質と臭みのない澄んだ旨みが生まれるのだそう。「餌からこだわって、八女が詰まった味なんですね」と、納得の丹生さんです。
続いて登場したのは、八女炭蘇鶏の「炙りタタキ」。表面を炙り、中はレアに仕上げた一皿で、手前がむね、奥がももと、2つの部位を一度に楽しめます。自家製の白ポン酢でいただきます。「たたきってことは、新鮮じゃないと食べられないですよね?」と丹生さんが言うと、「朝引きの鶏しか使っていません。今日とれたてです」と中島さん。新鮮だからこそ味わえる一皿に、箸が進みます。
そしてシメは、藤吉さんが「絶対にシメで頼む」という「鶏そば」。八女炭蘇鶏の旨みをたっぷり詰め込んだ、鶏白湯スープの一杯です。まずはスープをひと口。「あー、優しい……鶏の旨みが凝縮されていて、スープだけでいけちゃう!このスープと麺がよくからんで、絶品です!これは余裕で食べられちゃいます!鶏チャーシューも最高!」と大満足。
白レバーからシメの一杯まで、炭を食べて育った幻の鶏を存分に味わい尽くした丹生さん。「シメまでずっと大満足です! こんなに美味しい鶏に出会えるなんて」と、嬉しそうな表情。地元の人に愛される名店で、八女市の“食”の奥深さをたっぷり堪能したのでした。
鶏の極み とり源
とりのきわみ とりげん
福島八幡宮
ふくしまはちまんぐう
藤吉 朋子さん
Profile
八女商工会議所の中小企業相談所長。生まれは隣まちながら、30年ほど八女市に携わる。とり源は職場の目の前にあり、仕事帰りや家族とよく通う常連。
MOVIE
幻の地鶏その味は!?
Special Interview丹生 明里
お茶のまちだと思っていたけど……
食べ物も文化も人も全部全部、最高でした!
大茶園は、すごく遠くから見ると緑のカーペットみたいで、目が良くなりそうな景色でした。よかバスに乗れたのも楽しかったです。八女市は車がないと来にくい場所も多いので、バスで気軽にめぐれるのは、いろんな人が訪れるきっかけになるなと思いました。和紙のうちわ作りも、片栗粉を溶かしたようなトロトロの質感が新鮮で楽しかったです。矢部川のきれいなお水を使う、この土地ならではの和紙作りなんだなって。こうした伝統が今も受け継がれ、体験できるのは、子どもたちにとってもいいことだなと思いました。
吊り橋からの景色は、山の中腹に自分がいて、緑に包み込まれるような感覚で。風もよく通って涼しくて、目でも耳でも、肌でも楽しめる場所でした。そのあとの川遊びは、透明度に驚いて、自分の子どもの頃を思い出しちゃいました。足をつけながらのクラフトビールは、子どもの頃から考えると「なんだか大人になったなぁ」って感じました。鵜木さんと笹舟の話で盛り上がったのも、懐かしかったです。
FM八女さんは、みなさんが明るくて、方言がすごく癒やしでした。KashiKichiさんのすもものスムージーは、すももの味がぎゅっと詰まっていて、びっくりするくらい。地元の食材を使っていて、人との繋がりを感じるスムージーだなって。照士くんが一生懸命、商品を紹介してくれていたのも、すごく嬉しかったです!とり源さんの白レバーは、臭みがまったくなくて、とろけて。餌の竹炭からこだわっているからこそ、この味なんだなと感動でした。
八女市って、お茶のイメージが強かったんですけど、まだまだ魅力がたくさん!食べ物だけじゃなくて、人も文化も景色も。優しさや美しさが詰まっているまちでした。この旅をご覧いただいた皆さまにも、ぜひ八女市を訪ねていただきたいです。本当にありがとうございました!私もまた絶対に来ます!
撮影・取材協力 福岡県