江戸の面影残る町並みで
練りたての味覚に心ほどける
橿原市には、天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気平癒のために建立を始めた本薬師寺跡や文武天皇ゆかりの大官大寺跡など、飛鳥時代の遺跡が数多く点在しています。なかでも持統天皇が完成させた日本初の計画都市「藤原京」の宮殿「藤原宮(ふじわらのみや)」は、国会・霞が関・皇居が一体となったような、かつての日本の中枢。「日本国はじまりの地」とも呼ばれるここ橿原市は、藤原宮跡(ふじわらきゅうせき)をはじめ隣接する桜井市と明日香村の遺跡とともに2026年夏の世界遺産登録を目指しています。
※写真提供:橿原市
そんな「藤原宮跡」で声をかけてくれたのが、1人目のロコレコさんの吉田 奈央(よしだ なお)さん。橿原市観光親善大使「さらら姫」16代目として、市の歴史と文化の魅力を広く発信する活動をされています。「さらら姫」とは、藤原宮を造営した持統天皇の幼名「うののさららのひめみこ」に由来しているそうです。そんな吉田さんが紹介してくれるのは「隠れ家カフェのトロトロ和菓子」とのことで期待がふくらみます。
吉田さんに案内されてやってきたのが室町時代に寺内町(じないまち)として成立した「今井町(いまいちょう)」。今も江戸時代の町家が約500棟も残る、橿原市が誇る重要伝統的建造物群保存地区です。通りに踏み入れた伊原さん、「写真にも収めたいし、目にも焼き付けたいし。見てるだけで日常の喧騒を忘れられる気がします。室町時代後期からの町並みに今も人々が住まれているのがすごく素敵」と時間が溶けるような感覚に浸っているとたどり着いたのは「茶寮 百代(さりょう はくたい)」です。
「のれんがで出ていますけど、看板はないんですね」と伊原さん。「そうなんです。だから隠れ家なんですよ」と吉田さん。
今井町の町並みに静かに佇む古民家カフェ「茶寮 百代」は、昨年5月にオープンしたばかりのお店。「古民家っぽさもあるんですが、すごく綺麗ですね!」と伊原さんが目を輝かせます。おとなの隠れ家として話題を集めている、今井町で注目のお店です。
迎えてくれたのはスタッフの竹園 清加(たけぞの さやか)さん。「昔からあるものを今も大切にしていきたい、という想いで、この場所を継承する形で守らせていただいています」とのこと。ここで味わえるのは奈良・吉野から届く本葛100%の葛もち。注文を受けてから丁寧に練り上げる珍しいスタイルです。「恥ずかしながら、初めての葛もちかもしれないです」という伊原さんに、吉田さんも「美味しいですよ!私も何回もリピートしてるんです」と笑顔で応えます。
まもなく運ばれてきたのが、吉野産の本葛100%、特製の葛もち。スタッフの竹園さんは、葛の歴史・製法・調理法を幅広く習得した「葛ソムリエ」で、吉野本葛の魅力を伝える”葛の伝道師”として、奥深い世界をわかりやすく教えてくれます。竹園さん特製の練りたて葛もちの艶やかな姿に「もはや溶け出してるような見た目ですね」と伊原さん。桜の塩漬け、黒蜜、きなこも添えられていました。
まずは何もつけずにプレーンのまま、ひと口いただいた伊原さん「すごく優しい!ほんのりと自然な甘みが広がって、おいしい!しかも、びっくりしたんですが温かいです!」と表情がほころびます。さらに食感を言葉で探して「チュルルーンかも!歯ごたえがない訳ではないけど、溶けていってくれる感じ」とにっこり。「その温かさと食感が練りたてならではなんです」と竹園さんも笑顔に。続いて桜の塩漬けをのせると、「桜の香りとほんのりした塩味が最高!春がきましたよね」とうっとりします。
最後に黒蜜ときなこをたっぷりかけていただきます。「幸せです。毎日食べられますね、何個でもいける!」と満面の笑みの伊原さん。練りたてならではのなめらかさと本葛の優しい甘みが重なった一口に、笑顔がこぼれます。奈良の伝統と、それを守り継ぐ人々の誇りを感じた、橿原の旅の幸先良いスタートとなりました。
茶寮 百代(さりょう はくたい)
今井町の歴史ある町並みにひっそりと佇む古民家カフェ。白いのれんが目印で、看板はなし。奈良・吉野産の本葛100%を使い、注文ごとに丁寧に練り上げる葛もちは、桜の塩漬けや黒蜜・きなこと合わせて楽しめる。今回メディア初登場の知る人ぞ知る隠れ家的名店。
※葛もちを手ですくっている写真はイメージです。普段の調理時は手袋をして行っています。
吉田 奈央さん
Profile
橿原市観光親善大使「さらら姫」16代目。橿原市の歴史と文化の魅力を広く発信する活動を行っている。
MOVIE
練りたてあったか和スイーツ
360有余年の伝統から
生まれた、新しい一杯