桃がまるごとピザに⁉
名店プロデュースのピザ
見わたすかぎりに広がる、桃畑。桑折町の桃は6月下旬から9月下旬まで、十数種類がリレーのように季節をつないでいきます。「はつひめ、まどか、川中島白桃、幸茜桃」、名前を挙げればきりがありません。
なかでも町を代表する品種が「あかつき」。太陽をたっぷり浴びて濃く色づき、実は大きく肉厚。あふれる果汁とやわらかな果肉、そしてとびきり甘いのに後を引かない、甘みと酸味の絶妙なバランス。
その総合力で、桑折町産の「あかつき」は国内でも最高峰の桃として知られています。盆地ならではの大きな寒暖差が育てたこの「あかつき」こそ、1994年から献上桃に選ばれ続けてきた、桑折町の看板です。
そんな桃畑に、やってきた矢吹さん。「たくさんの桃に囲まれてます!見渡す限り、桃!」と、初めての桃畑に大興奮。そこで矢吹さんに声をかけてくれたのは、桃農家の南 祐宏(みなみ まさひろ)さんです。1本の木に200〜300個もの実がなるという畑で、「もしよかったら、ひとつ食べてみませんか」とうれしいお誘いが。もぎたてを丸ごとガブリ。「桃の香りが口に広がりますね!」と矢吹さん。いただいたのは、「あかつき」から生まれた早生品種「暁星(ぎょうせい)」。「みずみずしい味や綺麗な色、芳醇な香り!私、大好きです」と、お気に入りの様子。
南さんにお礼を伝え、桃畑をさらに進むと、作業中のおふたりの姿が。「もしかしておふたりがロコレコさんですか?」と声をかける矢吹さんに「ロコレコです!」と、息の合ったファイティングポーズで迎えてくれたのが、この旅最初のロコレコさん、坂田 星成(さかた せな)さんと山本 博史(やまもと ひろふみ)さんです。
おふたりは、ともに33歳の桃農家。青森県十和田市出身の坂田さんと、長野県安曇野市出身の
山本さんは、関東の大学で出会った同級生です。「将来的に一緒に何かやりたい」と4年前に
桑折町へ移り住み、3年間の研修を経て、昨年ついに就農。「親友だったのが、今はもう仕事仲間
です」と笑い合う、自他ともに認める仲良しコンビです。「今日は桑折町の桃を使った、桃づくしのおいしいグルメをレコしたいと思います」の宣言に、「やったー!桃大好きなので嬉しいです」と矢吹さんも思わずガッツポーズです。
おふたりが連れてきてくれたのは「Legare Koori(レガーレ コオリ)」。もともと幼稚園だった建物をリノベーションした施設で、庭には芝生や鉄棒がそのまま残っています。
「芝生があって鉄棒もあって、なんだか公園みたいで雰囲気がいいですね。外観も可愛い」と、矢吹さんもすっかり気に入った様子です。その施設内にあるのが今回訪れる「PizzaSta by Al che-cciano(ピザスタ バイ アル ケッチァーノ)」です。
こちらのメニューを監修するのは、山形・庄内の人気イタリアン「アル・ケッチァーノ」のオーナーシェフ、奥田 政行(おくだ まさゆき)氏。2000年に鶴岡市で同店を開き、地元の農家をたずね歩いては在来野菜や旬の食材の持ち味を引き出す料理で知られ、「食の都・庄内」を全国に広めた立役者です。じつは店名も、庄内弁の「うめもんがあるけっちゃーのぉ(おいしいものがあるんだよ)」から生まれたもの。足元にこそ宝がある。その哲学が光る「ピザスタ」で腕を振るう料理長は奥田氏の下で修行を積んだ佐々木 健(ささき けん)さんです。
店内に足を踏み入れると、「おー!大きなピザ窯!ピザ楽しみです!」と矢吹さん。「もちろんピザもなんですけど、他にもいろいろあるので」と、おふたりはにやり。すすめてくれたのは、店頭で販売している桑折町産あかつきの果汁を使った桃のグミです。ひと粒ほおばれば「結構な歯ごたえがありますね。桃の香りがすごくて、おいしい!これ、みんなが好きな味です」と止まらないおいしさ。「他にもゼリーや飴もあって、お土産によく買っていきます」と坂田さん。
席に着くと、運ばれてきたのは「桑折町産 桃とハムのピッツァビアンカ」。ビアンカはイタリア語で“白い”の意味。生地の上に、旬の桃がなんとまるごと1個分のっています。「桃がふんだんに使われてますね!」と歓声を上げつつ、豪快にガブリ。
「桃もチーズも生ハムも、全部合いますね。完璧なマッチ!甘じょっぱさが素晴らしいです」と、笑顔があふれます。チーズはモッツァレラや自家製マスカルポーネなど3種類を「桃を邪魔しないように」と使い分け。桃は繊細な香りを守るため、焼かずに生のまま後のせという徹底ぶりです。「生地もふわふわもちもちで、耳まで最高においしいです」の言葉に、「ピザ職人としては一番うれしいです」と、料理長の佐々木さんもにっこり。
デザートは、あかつきの果汁を75%も使った桃のソルベ。「あっさりかと思いきや、果汁がいっぱいだから濃厚!シャリッとして、夏にぴったりです」と、止まりません。
「こうやって喜んでもらえて、私たちは嬉しいです」と坂田さん。ピザの桃は時期ごとに旬の品種へ変わっていくそうで、「何回来てもいいってことですね」と矢吹さん。親友コンビの人柄と桑折町の桃がとけあう、ここにしかない味を堪能した時間でした。
PizzaSta by Al che-cciano
(ピザスタ バイ アル ケッチァーノ)
坂田 星成さん・山本 博史さん
Profile
関東の大学で出会った親友同士。桑折町で桃農家を始めて1年目。ふたりで育てる桃づくりに、今日も汗を流す。
MOVIE
旬の桃を丸ごと贅沢ピザ
豚も、桃で育つまち
炭火を囲んで女子会BBQ