加賀百万石の城下町として栄えた石川・金沢。茶屋街や用水の流れる小路には、藩政期から受け継がれた美意識と、職人の手仕事の文化が今も色濃く残ります。伝統を守りながら新しい感性も取り込んできた懐の深さは、この町ならでは。能登の海と里山が育む恵みも集まり、食の楽しみにも事欠きません。

今回、ゲストの志田未来さんが旅するのは石川。金沢の町家でいただくおにぎりや老舗の和菓子、金箔づくりの体験、現代アートの美術館、縁結びの神社、そして山中温泉のお宿まで——食と文化、癒しが詰まった石川の魅力をたっぷりご紹介します。

山里の咲

奥能登で塩づくりを営む塩屋さんが開いた、おにぎりの専門店です。伝統的な金沢町家の趣を残しながら令和モダンにリノベーションした店内で、握りたてのおにぎりを楽しめます。

おにぎりに使うのは、奥能登に500年以上伝わる「揚げ浜式製塩法」でつくられた塩。海水を塩田にまき、太陽と風、釜炊きで仕上げるこの製法は、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。塩にぎりのほか、奥能登の魚醤「いしる」を塗って焼いた焼にぎり、肉そぼろなど、能登の食材を生かした品が揃います。

不室屋 東山店

1865年(慶応元年)の創業以来、金沢でお麩づくりを続ける専門店です。加賀の食文化を彩ってきたお麩を、現代の暮らしに合う形でさまざまに展開しています。

名物の生麩まんじゅうは、もっちりとした生麩で餡を包んだ一品。しっとりなめらかな食感と、やさしい甘さが広がります。定番は、国産よもぎを練り込んだ生地でこしあんを包んだお味。生麩を笹の葉でくるんでいるのも特徴です。五郎島金時を使った味など、時期によって取り扱いが替わるものもあります。

和栗白露

栗の栽培から加工、販売までをすべて手がける栗スイーツの専門店です。自社で育てた能登栗の旨味を生かしたお菓子が並びます。

看板商品は、能登栗本来の風味を最大限に引き出した絞りたてのモンブラン。ここでしか味わえない一皿です。モンブランや栗の洋菓子は、通販やテイクアウトにも対応しています。

箔一本店 箔巧館

金箔は国内生産のほぼ100%を金沢が担うといわれ、その金箔の製造・加工・販売を手がける総合メーカーの本店が、この箔巧館です。金箔づくりの世界を、見て・味わって・体験できる観光施設になっています。

館内には、金箔をのせたソフトクリームが味わえるカフェや、金箔商品が購入できるショップを併設。金箔を貼ってオリジナルの工芸品をつくる体験のほか、金箔製造の最終工程である「箔移し」も体験できます。

白鷺湯たわらや

鎌倉時代に創業した「湯元十二軒」の一つに数えられ、山中温泉とともに約800年の歴史を歩んできたお宿です。「一羽の白鷺が傷めた足を癒した」という伝承が宿名の由来で、無色透明のやわらかな湯が今も豊かに湧いています。

2023年にリニューアルした客室には、渓流を望む露天風呂とサウナを備えた特別室も。食事は、北陸の山海の幸を盛り込んだ会席料理です。会席コース「菊華会席」では、のどぐろの宝楽焼き盛りや能登牛のローストビーフなど、石川ならではの味覚が味わえます。

金沢21世紀美術館

2004年に開館した、金沢が誇る現代アートの美術館です。およそ半年ごとに展示内容が大きく変わるため、訪れるたびに新たな発見があります。

代表作のひとつが、レアンドロ・エルリッヒの《スイミング・プール》。地上から覗くと水面の下に人がいるように見える仕掛けで、作品の中に入ると、自分も鑑賞される側になる不思議な感覚に包まれます。アート作品と一緒に写真を撮れば、自分自身が作品の一部になったような一枚が残せます。

石浦神社

縁結びにご利益があるといわれる、金沢最古の神社です。創建は約2200年前とも伝わり、金沢の中心に静かに鎮座しています。

大人気なのが、全48色というカラフルな水玉守。多くの人に気軽に身につけてほしいという思いから授与したところ、自分の「推しカラー」を求めて全国から参拝客が訪れるようになりました。お気に入りの一色を探す時間も、お参りの楽しみのひとつです。

てらおか風舎 金沢店

明治37年(1904年)創業、百年以上続く老舗精肉店が直営するレストランです。「能登牛のパイオニア」を掲げ、熟練の職人が厳選した能登牛を提供しています。能登牛は、世界農業遺産に登録された能登の里山で育つ、石川県のブランド牛です。

看板メニューのハンバーグは、能登牛と玉ねぎだけでつくるシンプルながら贅沢な一品。自家製のデミグラスソースは、ごはんにもパンにも合う芳醇な味わいが特徴です。