遠州灘の砂丘から茶どころの山里まで、静岡県西部・遠州エリアは海と山の恵みが豊かに息づく地域です。江戸時代には東海道の宿場町としても栄え、独自の食文化や工芸が今に受け継がれています。

今回、ゲストの牧瀬里穂さんが旅するのは、静岡県浜松市・袋井市・掛川市。雄大な砂丘の景観、土地に根付く伝統工芸、江戸から続く郷土料理、世界農業遺産の茶畑、そして静岡県民が愛するご当地グルメまで——遠州ならではの体験と味覚をたっぷりご紹介します。

中田島砂丘

遠州灘に面した東西約4km・南北約0.6kmの砂丘で、日本三大砂丘のひとつに数えられる浜松を代表する景観です。天竜川から運ばれた砂と「遠州のからっ風」と呼ばれる強い北西風によって、砂の表面に美しい風紋が刻まれます。

5〜8月にはアカウミガメが産卵に上陸することでも知られ、浜松海岸のアカウミガメ及びその産卵地は浜松市の天然記念物に指定されています。

遠州綿紬 ぬくもり工房

江戸時代から綿織物の産地として栄えた遠州。その伝統を今に伝えるのが、こちらのお店です。職人が昔ながらのシャトル織機で一枚ずつ織り上げる遠州綿紬は、使い込むほどに空気を含み、肌あたりがやわらかくなる風合いが魅力です。

店内には、ハンカチやバッグといった暮らしに寄り添う小物から、生地や反物まで幅広く並びます。150柄以上の縞模様を揃えるオリジナルブランド「つむぐ」も人気。店舗奥には貴重な織り機が展示されており、産地の歩みにふれることができます。

遠州味処とりや茶屋

遠州地方の食材や旬の魚介を生かした料理が並ぶお店です。なかでも名物は「たまごふわふわ」。江戸時代、東海道五十三次の宿場町・袋井宿で振る舞われていた料理を再現した、袋井ならではのご当地グルメです。

1813年に書かれた『仙台下向日記』には、袋井宿の大田本陣に宿泊した大阪の豪商の朝食に「玉子ふわふわ」が登場したと記されています。材料は卵とだし汁のみ。ふんわりとした独特の食感が、江戸の食文化を今に伝えます。

ヤマハリゾート葛城北の丸

静岡に本社を置くヤマハグループが運営する、和のリゾートホテルです。「藤殿」「葵殿」「桜殿」「萩殿」の4棟からなる客室棟はすべて、北陸の豪雪に耐えてきた古民家を解体・移築したもの。骨太の梁や柱に、歳月を経た伝統美が宿ります。

夕食は、遠州の旬の食材を生かした会席料理。回廊と庭園に囲まれた桜殿スイートで、静かな夜を過ごせます。

東山いっぷく処

日本有数の茶処として知られる掛川市東山。粟ヶ岳の山麓に佇むこちらは、2013年に世界農業遺産に登録された「静岡の茶草場農法」で育てられたお茶を味わえるお店です。

茶草場農法は、茶園の畝間にススキやササを敷き詰める伝統的な手法。手間を重ねることで、茶葉に深い味わいと豊かな香りが生まれると伝えられています。店内では深蒸し製法の東山茶を味わえるほか、お土産用のお茶や地元の品も並びます。

炭焼きレストランさわやか 掛川本店

1977年に菊川町(現・菊川市)で創業し、1989年に現在の「炭焼きレストランさわやか」へ。静岡県内のみに35店舗を展開する、地元で長く愛されてきたレストランです。

看板メニューは「げんこつハンバーグ」。牛肉100%の挽肉を備長炭で焼き上げ、熱々の鉄板にのせて客席まで運ばれます。最後の仕上げは、スタッフが目の前で行ってくれる演出付き。静岡を訪れたなら一度は立ち寄りたい、ご当地のソウルフードです。

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