水と 緑と いで湯のまちは
「レトロ」だけど新しい!だから温かい!
2024 May.
Today’s LOCORECO trip!
群馬県渋川市は各地区に泉質や効能の異なる温泉が湧き出ている「いで湯のまち」として名高いエリア。中でも伊香保温泉は知名度が高く、古くは万葉集にもその名が登場するほど。
そんな渋川市は伊香保温泉を旅するのは群馬県出身の女優・大友花恋さんです。
(文/兼子雄治・写真/鈴木大喜)
※営業時間や価格は、すべて取材当時のものです。
群馬県渋川市について
人口:72,600人(2024年3月31日時点)
面積:240.2k㎡
豆知識:渋川市が“日本のへそ”と呼ばれるのは地理的な理由だけではなく、坂上田村麻呂にまつわる“へそ石の伝説”にも起因している。
群馬県 / 渋川市
伊香保温泉SHIBUKAWA CITY
渋川市は、日本のほぼ中央部に位置し“日本のへそ”と呼ばれている。赤城山や榛名山などの美しい山々。また利根川と吾妻川が合流する、水と緑の豊かな自然とその絶景に恵まれたまち。古くから交通の要衝として栄え、南側は前橋市に隣接し、東京都心まで電車で約1時間30分、高速道路利用で約2時間とアクセスも抜群。伊香保温泉をはじめ、泉質の異なる温泉がいくつもあり、特産のこんにゃくや新鮮な野菜や果物、渋川地区の豊秋そばをはじめ深山そば、子持そばなど種類豊富なそばや、日本三大うどんにも数えられる伊香保地区の水沢うどんなど多くのグルメも魅力。
INTRODUCTION
大友 花恋おおとも かれん
Profile
女優。「第95回全国高校サッカー選手権大会 」12代目応援マネージャー、2020年までの約8年間「Seventeen」の専属モデルとして活躍。2012年に女優デビューをして以降、数々の話題作に出演する一方で、バラエティ番組や情報番組にも出演するなど活躍は多岐にわたる。
温泉文化発祥の地で
レトロな風情を満喫!
「伊香保温泉10年ぶりに来ましたよ。昔、家族で行ったんですよ。もしかしたらロコレコさんより詳しいかも知れませんよ」と渋川市は伊香保温泉にやって来ました。「やっぱり伊香保に来たら玉こんにゃくですよね。これで100円なんて信じられない!」と名物を楽しみながら旅のはじまりです。
伊香保のシンボルとも言われている石段街を進みます。“温泉街が1年365日にぎわうようになってほしい”という繁栄の願いが込められ2010年に新設された365段の石段。「伊香保温泉では自分の誕生日の段で記念写真を撮るのが定番なんですよ」と豆知識も教えてくれました。この旅最初のロコレコさんに会うため、元気にのぼっていきます。
365段の石段をのぼりきって到着したのは、温泉、医療の神様が祀られ、子宝や縁結びにもご利益があるという有名なパワースポット・伊香保神社です。お参りをしていた大友さんに「こんにちは」と声をかけてくれたのは、1人目のロコレコさん・永井 由美子さんです。永井さんは結婚を機に渋川市に移住し、カフェ「るんご」を営んでいます。
「伊香保温泉のレトロなまち並みをレコしたいと思っています」と永井さんが最初に案内してくれたのは伊香保神社からほどちかくにある「伊香保飲泉所」です。こちらの施設では伊香保温泉の源泉“黄金の湯(こがねのゆ)”を味わうことができました。「意外と美味しいですよ」という永井さんと「なんとも言えないお味でした…」という大友さん。おふたりそれぞれの反応が印象的でした。
「メインストリートのまち並みももちろん素敵なんですが、少し横道をそれた通りも雰囲気があって素敵なんですよ」と永井さんが案内をしてくれます。「そういえば伊香保温泉名物“湯の花まんじゅう”って全国の温泉まんじゅうの発祥とも言われているんですよね」と大友さん。風情あるまち並みを楽しみながら話もはずみます。
「このレトロな雰囲気にぴったりな商品が揃う雑貨屋さんがあって、そこも紹介したいんです」と永井さんが連れてきてくれたのは雑貨店「calme(カルメ)」です。「雑貨屋さん、大好きです!もう看板から可愛い!」と大友さんもテンションが上がります。
店内に入ると笑顔で迎えてくれたのは角田彩さんです。「おばあちゃんちにあったようなかわいいもの、おじいちゃんちにあったかっこいいものをお店に置くこと」をコンセプトに掲げる同店。レトロな雑貨やかわいいオリジナル商品が並びます。ちなみに角田さんが営む雑貨店「calme(カルメ)」と永井さんが営むカフェ「るんご」はオープン日が同じで、ずっと仲良くしているそうです。
店内をじっくりとみる大友さん「これ、おばあちゃんの家でみたことがある。この食器やスプーンもかわいい。角田さんが集めてきたもの、すごくかわいいです」と大絶賛。ショッピングを楽しみます。店内は昔ながらの調度品や、陳列棚に射的台が使用されていたりと、ところどころにレトロなこだわりがあり雰囲気を盛り上げてくれます。
「この手ぬぐいかわいい」とオリジナル手ぬぐいを手に取る大友さん。「実は伊香保温泉は“旅館手ぬぐい”発祥の地と言われていて、今でいうフェイスタオルの様に手ぬぐいをサービスとして最初にはじめたらしいんです。黄金の湯で茶色く染まった手ぬぐいは伊香保に行った証として一種のステータスだったそうですよ」と角田さんが教えてくれました。レトロな雰囲気と温泉文化発祥の地としての伊香保をより深く知ったのでした。
るんご
calme(カルメ)
永井 由美子さん
Profile
カフェ「るんご」店主。秋田は稲庭町出身。
MOVIE
レトロな街並み&可愛い雑貨屋さん
焼肉屋さんでうまれた
地元民最愛グルメとは⁉
続いてのロコレコさんに会いに来たのは、こちらも10年ぶりに訪れたという“河鹿橋(かじかばし)”です。前回は紅葉の季節だったそうですが、「緑の中に映える赤い橋も素敵です」と景色を楽しみます。すると出会ったのが、創業から104年、露天風呂が自慢の宿「和心の宿 大森(なごみごころのやど おおもり)」6代目若旦那の大森崇馬さんです。
「渋川市にある焼肉屋さんがありまして、家族で行ったり部活の帰りに行ったりと思い入れのあるお店があるんです。そこが発祥のあるものを紹介したいんです」と大森さんが連れてきてくれたのは「うまい焼肉♪あおぞら」です。「焼肉屋さん発祥のグルメってなんだろう⁉楽しみです」と期待がふくらみます。
「メニューがたくさんある。上州牛って群馬のブランドのお肉ですよね」という大友さんに「さすがご存じですね!上州牛は脂が甘くてすごく美味しいと思うんですが、でもしつこくない。特別なお肉です」と大森さん。熟成生上州牛の“幻上ロース”と“あおぞらカルビ”をまずはオーダーしました。「熟成生上州牛とは冷凍保存せず、お肉屋さんで30日ほど熟成してもらっている特別な品」だという安達哲朗社長みずからお肉を運んできてくれました。
焼肉の注文が入ってからその場で肉に味付けをする“一本漬け”という手法をとる同店。自家製のタレや薬味・スパイスの効いたお肉は格別です。「お肉の脂が絶妙にとけて見た目も美しい!おいしすぎる!ガツンと旨味がくるのに全然くどくない!すぐ次が食べたくなります」と大満足。「幸せの余韻がすごすぎて忘れていたんですが、これが発祥のグルメじゃないですよね⁉」という大友さんに笑顔の大森さん。
「このお店が発祥だと言われているのがカルビラーメンです。私のシメの定番ですがランチにこれだけを食べにくる人もいるくらい人気なんですよ」と大森さん。群馬県北部にはカルビラーメンがあるお店が多いのですが最初に出したのが同店だと言われているそうです。なんと安達社長がカルビスープに中華麺を入れたらおいしいのでは⁉とはじめたのがきっかけなんだとか。「うわー!おいしい!思ったよりあっさりしているけど、コクがすごいです。どうか私の地元・高崎にもお店を出してください」と大ファンになった大友さんでした。
和心の宿 大森(なごみごころのやど おおもり)
うまい焼肉♪あおぞら 本店
大森 崇馬さん
Profile
「和心の宿 大森」6代目若旦那。
和心の宿 大森 よりプレゼント!
屋上絶景露天風呂と伊香保の旬を味わおう
「和心の宿 大森」より本記事をご覧の方から、1泊2食(夕食・朝食)付きペア宿泊券を2組様にプレゼント!心和むおもてなしを体感するチャンスです。ぜひご応募ください!
応募詳細は下記URLをクリック‼
※ご利用期限は2025年5月末日まで。平日限定です。
MOVIE
絶品!カルビラーメン
雄大な自然をひとりじめ
渋川絶景写真のススメ
つづいてやって来たのは、大友さんも大好きだという足湯。こちらの「岸権 辰の湯」は約450年続く老舗旅館「岸権旅館」のご厚意で誰でも無料で足湯を楽しめる人気スポット。こちらで出会ったロコレコさんは山梨県から移住してきた長沼未希さんです。長沼さんは趣味のカメラで渋川市の魅力を発信しています。そんな長沼さんがレコしてくれるのが“渋川のフォトスポット”です。
まず長沼さんに連れてきてもらったのは「佛光山 法水寺(ぶっこうざん ほうすいじ)」です。こちらは台湾に総本山を置く臨済宗のお寺で日本の総本山として2018年に建立されました。「なんだか異国情緒がただよっていますね。ここがフォトスポットなんですね」と言う大友さんに「こちらの階段をのぼった先に絶景があります」と長沼さんがこたえます。
山門へと続く238段の階段をふたりでのぼります。「頂上にあがるまで振り向かないでくださいね」と言う長沼さんの言葉を守りながら歩を進めます。「結構そう言われると我慢できないタイプなんですが、頑張ります」と言う大友さん。頂上まであと少しです。
頂上の山門まで到着して長沼さんの「良いですよ」の合図とともにふたりで振り向きます。「すごい!ここはどこ⁉空の上にあるみたい」と大興奮の大友さん。雄大な赤城山と渋川市の街並みを一望できる絶景を楽しみました。
「最高のフォトスポットですね!ぜひ長沼さんのカメラで一緒に撮りましょう」と大友さんの提案で記念写真を撮ることになりました。まるで天空に浮かぶかの様なその景色で思い出の写真を撮りました。ふたりで撮影した写真を一緒に確認しました。(記念写真は実際に長沼さんのカメラで撮影した写真)すると長沼さんから「もうひとつ行きたい所があるんです。毎日景色が変わる大好きな場所です」と次なるスポットへ向かうことになりました。
陽が沈む直前にやってきたのは赤城IC至近の「みんなのポケットパーク見晴台」という展望公園です。ここからは榛名山や伊香保温泉街の景色を楽しむことができるのですが、長沼さんのおすすめは榛名山におちていく夕陽だそうです。長沼さんの仕事帰りの通り道で、天気が良ければ必ず寄って帰るほど好きな場所なんだとか。
夕陽が特に見やすいスポットに案内してもらいました。「これは美しいです!夕陽がまっすぐ正面にみえてる」と喜ぶ大友さん。「私、おじいちゃんのカメラ持ってきたので、これで撮りたい。撮り方教えてください」と長沼さんから撮り方のコツを教えてもらい美しい写真が撮影でき嬉しそうな大友さんでした。(夕陽の写真は実際に大友さんのカメラで撮影した写真)
佛光山 法水寺(ぶっこうざん ほうすいじ)
長沼 未希さん
Profile
地域おこし協力隊として活動するため山梨県から約5年前に移住。
MOVIE
映え写真のススメ!
ディープな伊香保を
心ゆくまで楽しみたい
この旅の最初に出会ったロコレコさん・「るんご」店長の永井 由美子さんと「calme(カルメ)」店長の角田 彩さんに誘われて連れてきてもらったのは、「calme(カルメ)」真横の姉妹店「ニューベルバラ」です。なんと迎えてくれた店主は角田 彩さんの旦那様・健太郎さんとのこと。近代建築のレトロ感ただようネオン管の看板と可愛いモザイクタイルの外観のお店を入るとオシャレなバーの様なお店でした。
同店は軽飲食店とのことでドリンク類はもちろん、猟師でもある健太郎さんによるジビエ料理なども楽しむことができます。温泉街散策の休憩におすすめだという「クリームソーダ 黄金(こがね)」をいただくことになりました。「伊香保温泉の黄金の湯をイメージしました。レモンシロップをいれていてスッキリしていると思います。渋川市の鳥・ホトトギスのオリジナルクッキーもついてます」と健太郎さん。「なんだか見た目もかわいいし懐かしいけど大人のクリームソーダっていう感じがします」と味わいます。
「ここはもともとスナックだったらしいんですよ。アンティークやレトロなものが好きなので最初はカルメを借りて、つい最近こちらも。外観はまったくいじってないんですよ」と彩さん。店内の照明などの調度品はおふたりの趣味で集めていたものを使っているのだそうです。「すごく可愛くて、どこか懐かしくて落ち着く雰囲気ですね」と楽しい時間を過ごしました。
すると、角田夫婦が「ぜひ紹介したいお店があります」とお店を出てレコしてくれることになりました。「レトロでディープな飲食店街のホルモン屋さんを紹介します」と健太郎さん。連れてきてもらったのはトタン屋根の飲食店街「永楽街」です。「群馬県って畜産業が盛んだからホルモンが有名ですもんね。ディープなお店でホルモン楽しみです」と大友さん。
到着したのは角田夫婦おすすめのお店「大衆ホルモン哲」です。迎えてくれたのは、店主の永田鉄治さんです。「ここは地元の人たちがよく集まるお店で、私たちも3年くらい通っているんですが、最近では久しぶりなのですごく嬉しいです」と彩さん。
まずは3人で乾杯です。「雰囲気最高ですね!」と楽しそうな大友さん。「実は私たちの出会いのきっかけもホルモン屋さんなんです。だからホルモンすごく大好きですよ」と言う健太郎さんに「そんなおふたりが紹介してくれるお店だから期待が高まっちゃうぞ」と大友さんが応えます。
最初に頼んだのは「ホルモン3種盛り」です。たくさん入っているのですが、なんとお値段は1,200円(税込)。リーズナブルな価格も魅力です。店主の鉄さんのおすすめの順番、塩、みそ、辛みその順に焼いていきます。「塩はホルモンの旨味がよく分かってお酒に合いそう。みそは、香ばしくて全然雰囲気がちがう。ごはんに合いそう。辛みそは一番味がはっきりしててピリ辛が心地よいです。食べ応えがあって最高です」と舌鼓。
つづいては「ハラミ」です。「これも大好きです。めちゃくちゃ美味しい!肉汁がすごいです」と大友さん。「これは豚ハラミなんです。すごく美味しいですよね」と彩さん。「豚の方が“ホルモン感”があってお肉の食感もすごくある。私、豚の方が好きかもしれません」とホルモンを堪能します。
そして最後は年に数回しかメニューにのぼらないという幻の「もつ煮」です。「家でも母がもつ煮を圧力鍋で作ってくれてたんです。もつ煮、大ファンです」と目を輝かせます。「当たり前ですけど“焼き”とは全然ちがいますね。とろけてる。美味しすぎます」とご満悦でした。
「本当に全部美味しい。伊香保には家族でよく来ていたんです。でも大人になったからこそ、家族でまた来てみたいです」と喜ぶ大友さんに「私たちが大好きなまちの大好きなお店を気に入ってくれて本当に嬉しいです」と笑顔の角田夫婦。楽しい伊香保の時間をしめくくりました。
ニューベルバラ
ロコレコ・角田 彩さんの営む雑貨店「calme(カルメ)」の姉妹店。旦那様の健太郎さんが営んでいる。健太郎さんは古物商でもあり猟師でもある。健太郎さんのつくるジビエ料理は人気商品のひとつ。
大衆ホルモン 哲
“七輪を使って自身で焼いてお肉本来の味を楽しむ”のが特徴で人気の同店。地元民憩いの場として愛されており、リーズナブルかつ上質なホルモンが食せる銘店。年に4~5回しかメニューに上がらないという「もつ煮」があった際は必食!
角田健太郎さん
彩さん
Profile
お隣同士の姉妹店を営むご夫婦。おふたりとも渋川市出身。
MOVIE
群馬といえばホルモン!
Special Interview大友 花恋
10年ぶりに訪れた思い出のまち
変わったことも変わっていないことも…
渋川市と言えば「伊香保温泉」というイメージが強くあったので「他には、何があるんだろう⁉」って、すごく興味があったんですけど、今回の旅で温泉だけじゃないんだなっていうのが分かって、すごく良い発見でした。
新しいもの、新しいグルメ、守り続けられているもの。まち並みひとつとっても、少しずつ変化していたり、でも変わらない風情や情緒があって。見れば見るほど魅力的な場所だなって感じました。
10年ぶりに来てみて大人になったいまだからこそ行ってみたい場所やお店がたくさんありました。家族で必ず来たいと思っています。みなさんも是非来てほしいなって。渋川市のみなさん、本当にありがとうございました。すごく懐かしくもあり新しい発見もあり素敵な旅になりました。
撮影・取材協力 渋川伊香保温泉観光協会