ここでしか食べられない味
ネオソウルフードに出会う
続いてのロコレコさんとの待ち合わせにやって来たのは“市立大町山岳博物館”です。こちらの施設は「北アルプスの自然と人」をテーマに、北アルプスの自然等について紹介する総合博物館で、動物・植物・地質・山岳・歴史・民俗・美術など各分野の資料が収蔵されています。また、常設展示として「山と人とのかかわり」をメインテーマに山岳に関するパネルや実際に登山に使用された道具、山に生きる動物たちの剥製などが展示されています。
北アルプスの雄大な自然の中で、標高の高いエリアは多雪や低温などによる過酷な環境に適応できる限られた生き物しか暮らすことができず、一方で麓は山からもたらされる豊かな水資源により、多様な生き物が生息してきたそうで動物好きの矢吹さん、興味津々です。「動物がいっぱいいますね。特にニホンカモシカは迫力もあるけど愛らしいです」と特別天然記念物でもあるニホンカモシカが特に気になっていた様子でした。
館内を見学していると話しかけてくれたのは、2人目のロコレコさんの小野村美郷さん。山の魅力に魅せられ大町市に移住、山岳に関する本をメインとした古本屋を昨年オープンさせました。「ここは、日本で初めてできた山岳をテーマにした博物館で、北アルプスやその周辺地域に生息する動物の資料も豊富なんです。先ほど奈子さんがみていた“二ホンカモシカ”ももちろん、“ライチョウ”も実際に見られる施設もあるので見に行ってみませんか?」と小野村さんに誘われ早速移動します。
やってきたのは博物館併設の付属園(動植物園)です。付属園は、北アルプスやそのまわりでみられる動物や植物の生体展示・研究、傷病鳥獣の保護、種の保全に貢献するための施設。飼育下におけるニホンライチョウの自然放卵による繁殖に、日本で初めて成功したという実績もあります。矢吹さんも「実際にお目にかかれるなんて楽しみです」とテンションがあがります。
付属園に入り最初に訪れたのは“ライチョウ”の飼育舎です。「初めて見ました。すごい鳴いてる。なんだかまぶたが可愛いですね」と観察する矢吹さん。「実はこの“赤い色”はオスの特徴で繁殖の時期や興奮している時は赤い部分が大きくなるんですよ。今は“夏羽”と言われる羽が生えているのでこういう色ですが、1年に3回羽の色が変わるんですよ。秋は茶、冬は白と、環境に合わせて保護色になるんです」と教えてもらいました。
次に見に来たのは“二ホンカモシカ”です。「名前に“シカ”とはついているんですが、実はウシ科に属する生き物なんですよ」と小野村さん。「え!そうなんですか?言われるとどことなく、おっとりしているように見えます。すごく愛らしいですね」と笑顔のおふたり。
付属圓を後にしたおふたり。「ライチョウやニホンカモシカを知ってもらって、自然に興味を持ってもらってより大町市のことを知ってもらえたら嬉しいです」と言う小野村さん。「私、動物が好きですし、その動物たちが暮らしている大町市をもっと知りたいと思いました」と矢吹さん。「では、さらに地元を知ってもらいたいので長野の郷土料理を食べに行きませんか?ここ大町でしか味わえない“進化系のおやき”ですよ」との紹介でお店に向かいます。
小野村さんに案内され、たどりついたのは今年2月に大町市にオープンした“進化系おやき”のお店「mamani」です。オシャレなカフェの様な雰囲気の店内に「おやきって、郷土料理のイメージが強かったので、かわいらしくて素敵な空間に驚いています」と矢吹さん。
店内ではオーナーの白澤さんご夫婦が迎えてくれました。フレンチのシェフである白澤さんがフランス料理の敷居の高いイメージをなくすため、地元の食材や季節の野菜を使用し郷土料理のおやきにフレンチの技法を取り入れたのがきっかけで開発されたそうです。昔から親しまれている“おやき”とは一味違った“進化系のおやき”を食べられる話題のお店です。「洋風おやき。見た目も可愛いです!色々種類があるから楽しいですが迷っちゃいます」という矢吹さんに小野村さんがオススメをオーダーしてくれました。
さっそく運ばれてきたのは小野村さんもよく食べるという「味噌モッツァ」です。ガーリックソテーしたなすに自家製ベーコン、信州味噌の特製ソースとモッツァレラチーズが入った逸品。表面にも信州味噌の特製ソースとパルミジャーノチーズがかかっておりチーズの風味と味噌の深いお味がバツグンなおやきです。「見た目もかわいいし、味噌の香りとチーズがいっぱいで本当に美味しい。フレンチだけど、ちゃんと“和”の味がしてハマりそうです」と楽しみます。
次に運ばれてきたのは、デザート系おやきとして人気を博す「レモンアーモンドクリーム」です。
アーモンドとバターのクリームと上に乗ったアイシングの優しい甘さの中に、レモン果皮の爽やかな香りが後を引くおやきです。「こちらも美味しいです。優しい甘さとさっぱりとしたレモンが最高です。フレンチとおやき、想像できなかったけど、最高ですね」と大満足の矢吹さんでした。
市立大町山岳博物館
書麓 アルプ
ロコレコ小野村さんが2023年にオープンした山の本をメインとした古本屋。オシャレな店内には、山岳に関する本や絵本、画集などが取り揃えられている。ポストカードなどの商品も購入できる。
mamani
小野村 美郷さん
Profile
茨城県出身。昨年3月に大町市に移住。書麓アルプ店長。
MOVIE
フレンチと融合!?進化系おやき
過去からのプレゼント
水と生きる大町で味わう天然水